日本に暮らしていると四季というものがあり、それが当たり前です。
海外旅行が身近になった昨今、国や地域によってはもちろん四季がないということはみんな理解しています。

ところが。

こうして四季のない国に暮らして約一年。そのことの意味について色々と思います。
旅行では感じられなかった、一年間、という単位を通してみた季節感。
今回はマリの気候、天気や気温などについて考えてみたいと思います。

日本の方のために、このマリの気温が分かる天気予報をブログの右のほうにつけてみています。
時々マリは今どんな気候かをみていただけると、この国を理解する一助になるかもと思っています。


マリは地理的に言うとアフリカの左側、日本よりも大分赤道に近いが、赤道直下でもない場所。
かの有名な世界一の砂漠地帯であるサハラ砂漠を北部に擁し、海がない内陸国として存在しています。

季節は雨季と乾季。6から10月くらいまでが大体雨季でそれ以外が乾季。
雨季にはほぼ毎日雨が降り、乾季は逆にその期間中ずっと雨が降らない。

雨季の雨はとてつもなく強く激しい集中豪雨と、日本の梅雨ようにしとしと長く降る雨とあり、気温は30℃前後、雨が降っていないときは35℃くらいから、雨が降ると25℃くらいまでと幅があり、湿度が100%近いのではないかと感じるほどじめじめしている。

乾季は逆にからっからで、特に4、5月は気温が当たり前のように35℃以上、時には45℃以上という暑さ。
直射日光の下で、ソトラマの中で、汗が止まらずに常に倒れそうなくらいです。
空気は砂埃が舞い、自動車の排気ガスに汚れ、外から戻ると顔が真っ黒になります。

こうして長く生活をしていると、この気温と二つの季節、これがマリの文化の基礎になっていることを感じます。

まず年間を通して平均的に気温が高いこと。
これにより、あまり働きません。というより暑くて働けません。特に昼間は。だから活動時間帯は早朝と深夜に広がり、昼間は木陰で昼寝をしている人が多くいます。(尤も、現在はエアコンが普及し始め、徐々に昼間の仕事も増えているようですが、長い間の文化はそう簡単には変わらないようです)
さらに年間を通してずっと気温が高い、ということは洋服の必要が薄く、衣服の種類も発展しませんし、経済的にも冬服が売れるということがないため、消費の、経済が回転するチャンスが一回少なくなっている気がします。(しかし洋服に関しては派手さや綺麗さといった面で世界中で類を見ないほど発展していると思います)
しかもある程度雨も降ることからマンゴーなどの作物が意外に豊富で、一生懸命働いてやっと食いつないで生きていく、というのとは少し違うと感じます。だから仕事に対する一生懸命さにかけるのかもしれません。
逆にこうしたのんびりとした時間がたくさんあるところから、音楽やダンスなどの文化的な側面が大きく発展をしたのかもしれません。

そして暑いこと。
これで人々は脳の細胞を大分失います。(すみません、勝手な推論です)
参考までに私は、このマリに一年近く住み、おそらく脳が1/3くらい死にました。もう頭が思うように働きません。。。
色々な物事が適当に処理され、「あぁ、なんて日本人は几帳面なんだ」と、いつまでたっても思い知らされます。
あまりにも暑くて、実際私も4~5月の記憶がおぼろげとしているくらいです。
こんな厳しい環境だから、イスラム教も普及しました。(具体的には分かりませんが、こういった苛酷な環境下の地域でイスラム教は強いようです)

ついでにこの国には地震がないので、建築の技術が日本とはまったく発想が違います。
建物は日干し煉瓦を積み重ねて屋根を置いただけのもので、非常に簡易、適当。日本のミリ単位で行う建築とは180度異なった世界観です。まぁ、この点に関してはまた、別の機会に詳しく触れたいと思います。

そんなわけで、この国の人々の性格、考え方、文化を理解する上で、気候的なバックグラウンドは把握しておく必要があるように感じました。自然が作り出す環境下にいて初めて育つ文化なので、当然といってはそれまでかもしれませんが、最近やっと気づけたことです。

ちなみに8月12日現在のマリは、雨季の真っ只中。
湿度は高いが気温も高いため洗濯物は乾きますが、、、
日に一度くらいある集中豪雨の強力さには閉口します。まるで毎日がゲリラ豪雨。道端の看板も木も、倒れることもしばしば。
やはり苛酷な環境なんだなぁ、と荒れ狂う雷、雨、風を窓の外を見ながら思いました。